第28章

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この店は商売が悪くもなく、良くもなく、終業時は繁盛するが、ラーメン一杯の値段が安いため、一日の稼ぎはたいしたものではなかった。

山田澪はとても勤勉で、裏で皿洗いをするだけでなく、客が帰ると進んでテーブルを片付けていた。

夫婦は彼女がてきぱきと仕事をこなす姿を見て、思わず安堵し、給料を払わないのは申し訳ないとさえ感じ始めていた。

そして山田澪は北村健が考えていたように、苦労に耐えられずに逃げ帰るということはなく、むしろ、ここが気に入っていた。

店主夫婦は彼女に親切で、一緒に食事をし、一緒に買い出しに行く。彼女はとても楽しかった。北村健と一緒にいた時でさえ、こ...

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